第6回公演「紅鴉」
作・演出 平戸麻衣
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Story ―あらすじ―
日清・日露戦争が終わり、町で「ハイカラ」が流行語となった頃。青崎林太郎は元旗本の青崎家の次男坊で大学に入学したばかりだが、家の離れに篭り、小説・評論・洋書を読み漁る変わり者。出入りする行商の福田サザ江がああだったこうだったと
徳川時代の懐古にふけっては明治のなよなよした男たち、ひいては林太郎をなじるのも楽しげに聞いている。
ある日、サザ江が林太郎に女中奉公に出ている妹の磯野カツ代のことを話す。彼女が奉公しているのは元米問屋の豪商赤坂家。五代も続いた大店であったが、当主赤坂伊佐衛門が亡くなった後、残された女たちの関係が大もめにもめている。殊に伊左衛門の後妻の田鶴と伊左衛門の娘の紀和の仲は最悪で、奉公人も次々に辞めてしまった。体が弱い紀和の妹、千世、そして田鶴が連れてきた白痴の娘、サヱ。この四人の間でカツ代は途方に暮れているというのだ。
おりしも伊佐衛門が亡くなってから赤坂家の上には烏が飛び回るようになり、かつての豪商の屋敷はいまや近隣から気味悪がられる「カラス屋敷」になってしまった。
その話に興味を持った林太郎はカツ代の手引きで 赤坂家を訪ねてみることにしたのだが…
渦巻く欲と明治後期の混沌を激しく、時にコミカルに、 時にシニカルに描きだすミュージカル。